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Interests

コミュニタス

Communitas — 属性を超えた、純粋な人間の結びつき

コミュニタスとは

コミュニタスとは、社会的地位や役職、年齢といった属性を取り払ったときに生まれる、人間同士の純粋で対等な結びつきを指します。文化人類学者のヴィクター・ターナーが提唱した概念です。

Structure — 構造

日常の役割

「上司と部下」「親と子」といった社会的な役割の中に生きている状態。ルールと階層によって秩序が保たれる。

Communitas — 脱構造

純粋な一体感

非日常(リミナリティ)の場で属性が無効化され、損得勘定抜きで互いを一人の人間として認め合う熱狂的な状態。

お祭りや儀式、過酷な修行のような「非日常(リミナリティ)」の場では、一時的にこれらの属性が無効化されます。その瞬間に立ち現れる、全体が一つに溶け合うような熱狂的な一体感こそがコミュニタスです。


現代社会におけるコミュニタスの例

現代において、この熱烈な一体感はどのような場所で見られるのでしょうか。

音楽フェスティバル・スポーツ観戦

見ず知らずの人同士が、同じ音楽やチームを応援するという目的のもと、社会的背景を忘れて肩を組み、歓喜する姿はコミュニタスの典型です。

地域の祭礼

普段は接点のない住民同士を「祭りの担い手」という対等な関係へ引き戻す装置として機能しています。日常の属性が一時的に無効化される典型的な場です。

災害時の避難所

被災者同士が属性を超えて協力し合う瞬間に生まれる絆も、自然発生的なコミュニタスの一種と言えます。極限状態が「構造」を溶かし、純粋な連帯を生み出します。


現代の日本企業におけるコミュニタスの必要性

今の日本企業の多くは、過剰なルールや硬直化した階層組織によって、社員が「言われたことしかやらない」無気力な状態に陥っています。失敗を恐れ、効率だけを追い求める「構造」の中に閉じ込められた結果、働く喜びや創造性が失われているのです。

こうした閉塞感を打破し、かつての日本企業が持っていたような熱気と創造性を取り戻すには、社内に「コミュニタス的」な場を意図的に作り出すことが必要です。

01

役職を忘れる対話の場

業務とは直接関係のない合宿やプロジェクトを通じ、社長も新人も一人の「人間」として向き合う時間を作ります。

02

心理的安全性の確保

属性による評価を一時的に停止することで、社員は失敗を恐れずに斬新なアイデアを口にできるようになります。

Summary

「構造(ルール)」が組織を維持する骨組みだとすれば、「コミュニタス(熱狂)」は組織に命を吹き込む血液です。あえて効率を度外視した「非日常の交流」を経営に取り入れることが、社員の当事者意識を呼び覚まし、イノベーションを生む土壌となるはずです。